血液透析施行中、常時監視すべき項目はどれか。3つ選べ。
a: 血漿浸透圧
b: 気泡
c: 漏血
d: 透析液圧
e: 透析液エンドトキシン濃度
透析治療中には、溶血が発生した場合の溶血・漏血モニタ、脱血、返血の状態を把握するための動脈圧・静脈圧モニタ、透析液温度、透析液電導度モニタなどさまざまな安全装置が必要である。
(溶血:漏血モニタ)
透析排液中のヘモグロビンを感知する装置で、溶血があると判断されると、血液ポンプが自動停止する。
(気泡検知器)
透析装置の気泡検知器は、患者への気泡混入を防ぐため、必ず静脈側(返血側)に設置する。
(動脈圧・静脈圧モニタ)
穿刺針が抜けた場合、返血針が抜けた場合、返血側の閉塞、チャンバ内の凝固、ダイアライザの凝固を感知するための装置である。
(透析液温度モニタ)
コンソールでは透析液温度を 37℃程度に保つためのヒータが内蔵されているが、その温度を感知するモニタが透析液供給側に設置されている。血圧低下の予防を目的とした透析液の温度を自動でコントロールする機能を装備している透析装置もある。
(透析液電導度モニタ)
透析液は浸透圧 270~280 mOsm/kgH2O になっている。透析開始前に必ず測定しているが、透析中の濃度変化を感知するために、透析液の電導度をモニタリングしている。
(循環血液量モニタ)
循環血液量モニタとは、体外循環施行時に循環血液量変化率(ΔBV)を算出し、非観血的・連続的にモニタリングする装置である。循環血液量の変化を知ることは血圧低下を事前に発見につながる。
(再循環率モニタ)
再循環とは、ダイアライザにより浄化された血液の一部が患者に戻ることなく、再び動脈側回路に引き込まれ、著しい透析効率の低下をきたす現象である。再循環率測定は、バスキュラーアクセス機能不全による透析効率の低下を発見するために重要なモニタである。
(実血液量・脱血圧モニタ)
血流量は透析効率に影響を与える最も重要な因子の一つである。透析装置に表示されている血流量は、血液ポンプの回転数を流量に換算したもので、実血流量と異なることが多く、その要因として脱血状態がある。国際基準IEC60601-2-16 では,「透析装置は過度な脱血圧による危険から患者を守る保護システムを備えなければならない」とされており、脱血圧のモニタリングの必要性が示されている。
a:血液透析監視項目にない。
b:正解。透析装置の気泡検知器は、患者への気泡混入を防ぐため、必ず静脈側(返血側)に設置する。超音波によって検知。
c:正解。透析排液中のヘモグロビンを感知する装置で、溶血があると判断されると、血液ポンプが自動停止する。赤外線によって検知。
d:正解。透析液系の監視項目で、ストレインゲージによって検知。
e:血液透析監視項目にない。透析液エンドトキシン濃度は最低月1回以上の測定を行う。